Amazonは、買い物をシンプルにする。
「共感企業」の著者でもある、株式会社JOYWOW 代表取締役会長 阪本 啓一氏が、ブランディングに関する講演(主催:一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会)の中で、「Amazon DASH」を取り上げ、「売る」という点おいて、Amazonに対して勝つことがいかに難しいかを説明されていました。
結論から言えば、「売る」ことを目指すのではなく、「選ばれる」ことを目指さなければ、生き残ることは非常に困難です。
ブランディング:モノを売らず、コトを提供し生き残る

日本における、インターネット利用者数は、2012年末の段階で9,652万人です。それに対して、Amazonは、2012年の時点で、月間4,800万人のユニークユーザーが訪れるオンラインストアとなっています。
ちなみに、ネット利用の目的として、商品・サービスの購入・取引(デジタルコンテンツの購入及び金融取引を除く)と回答した割合が、20代:58.4%、30代:61.1%、40代:59.4%、50代:50.5%、60歳以上:33.2%(平均:50.1%)という調査結果から考えると、Amazonの持つ力が、非常に強大であることが分かります。
□参考データ:
■圧倒的な集客力|Amazon Services
■総務省|平成25年版 情報通信白書|インターネットの利用状況
※第2部 第3節 1(2)及び(3)
それに加え、2014年4月4日、Amazonは、買い物を極めてシンプルにする新しいガジェット「Amazon DASH」を発表しました。
アマゾンの「Dash」は、品名を言うか、バーコードを読み取るだけで買い物リストを作成。同社のサーヴィスですぐ宅配される「リモコン」だ。
引用:買い物が「危険なほど」簡単になる「Amazon DASH」
(WIRED.jp)
勿論、商材によって、「Amazon DASH」の影響を受ける度合いは異なるでしょう。こちらのサービスは、基本的に、食糧雑貨を対象としています。ただ、前述のユニークユーザーの数値データだけでも、「売る」ことでAmazonに勝つ難しさを理解するには十分です。
しかし、ビジネスを諦める必要はありません。「売る」ことではなく、「選ばれる」ことを目指しましょう。
ブランド:お客様に選ばれるための世界観を創る
コトが提供できる価値は、モノが提供できる価値より大きい。
ご講演の中で阪本 啓一氏は、モノよりもコトを提供することに力を注ぎ、成功を収めた事例の1つとして、「中央書店」を挙げていました。
お客様は本から、わずか20%しかエンターテイメントを得ていない。残り80%を提供するのが、ぼくたち書店の役割。
中央書店は、ボーイズラブ(BL)をテーマにしたコミック本・同人誌の専門サイトを展開されています。テーマについての議論はさておき、ユーザーがAmazonでも買える本を、わざわざ中央書店で買うには理由があります。いくつか列挙してみましょう。
1:専門性が非常に高い
ユーザーのインタレストに基づき、徹底的に絞り込む
2:編集者の目で厳選したオススメ
安易なオススメではAmazonのレコメンド広告には勝てない
3:コミュニティの創造
イベント開催や特典提供でお店とファン・ファン同士の繋がりを構築
このように、Amazonでは提供していない世界観によって、中央書店はブランドの価値を創造しています。そして、それによって、お客様から選ばれています。
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EXILEに学ぶ、売れるストーリーとブランディング
最後に:中小企業こそ、選ばれるブランドを目指せ。
中小企業のECサイトが、Amazonに負けない存在になる方法を考えている方々がいます。
その中の1人が「なぜあなたのECサイトは価格で勝負するのか」の著者であり、株式会社ネットコンシェルジェ 代表取締役 尼口 友厚 氏です。尼口氏は、ECサイトのブランディングを実現する、ソーシャルコマースプラットフォーム「People & Store」を展開されています。
中小ECサイトがAmazonに負けないために生みだされたソーシャルショッピングアプリ「People & Store」
(ネットコンシェルジェ)
今回の講演で、Amazonとの機能的価値による衝突のお話を聞いた際、以前読んだ、このブログ記事と「People & Store」が、私の頭に浮かびました。
ECサイトをブランディングする方法はひとつではないが、最も効果的な方法は良質なコンテンツを継続的に発信することだ。
私は、尼口氏が書かれた、この部分に大きな共感を抱いています。
更に言えば、「コンテンツ」はECサイト上やメルマガで配信される内容だけに限らないでしょう。中央書店のように、場合によっては、リアルな特典やイベントなども選択肢として考えられます。
消費者にニーズが生まれた時、一番最初に思い浮かんだお店こそが「買われるお店」なのだ。しかし、あなたのECサイトAmazonのやり方を真似してはいけない。絶対に勝てないから。
「売る」でAmazonに勝つのは、至難の業。無理と言っても過言ではないでしょう。しかし、それでも尚、お客様に「選ばれる」ことを諦める必要は無いのです。
あなたのお客様が、あなたを選んでくれる理由となる「企業ミッション、顧客価値、購入によって得られる経験」を示す「コンテンツ」を徹底的に追求していきましょう。
著者:高橋慶彦(ブログ運営責任者)
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