オーディオブックで900億円市場を狙えるか

オーディオブックで900億円市場を狙えるか

先週、こんなニュースを見ました。

出版業界としてオーディオブック市場を推進すべく、小学館・講談社・新潮社・KADOKAWA・オトバンクなど16社が協議会を設立。
電子書籍の次の柱に
(ITmedia eBook USER)

□オトバンク代表 上田渉氏が概況説明
□オトバンクはオーディオブック配信
 サービス「FeBe」を約10年運営
□オーディオブックの市場規模は
 米国:1600億円
 グローバル:書籍市場の10%
□オーディオブックの市場は
 国内でも、800~900億円程度まで
 スケールできると期待

かなり厳しい。みなさん、そう思いますか?

私もそう感じましたが、出版に近い印刷業界の1人として、本当に厳しいのか考えてみます。

オーディオブックで900億円

オーディオブックで900億円

そもそも、ニーズはあるの?

現時点で、配信型の市場は20億円規模という説明があったそうですが、少しターゲットについて考えてみます。

色々なターゲット像が考えられるでしょうが、ビジネスパーソンを対象に3つのケースを挙げてみます。

【ケース1】
□Who:都市部のビジネスマン
□When:毎日の通勤時間(1-2時間)
□Where:パンパンの満員電車の中
□How:スマホからイヤホンで
□What:ビジネス書や自己啓発書を
□How much:月に2-4冊ほど読み
□Why:自己成長に繋げたい

都心に向かう満員電車は、本当にスゴい。紙の書籍やタブレットを開いて読んでいたら、周囲の人は邪魔でしょうがないし、場合によっては危険。その点、オーディオブックなら大丈夫。

【ケース2】
□Who:地方のビジネスマン
□When:毎日の通勤時間(0.5-1時間)
□Where:自分で運転する車の中
□How:スマホからカーオーディオで
□What:ビジネス書や自己啓発書を
□How much:月に1-2冊ほど読み
□Why:自己成長に繋げたい

地方の移動手段は基本的に車。私は地方出身者ですが、この移動時間を非常に勿体無く感じます。心にゆとりが無いと言われればそれまでですが、片道30分だとすると、通勤だけでも往復で1時間。1ヶ月で最低20時間、1年で240時間をもっと有効活用できます。

【ケース3】
□Who:都市部のビジネスマン
□When:毎日の通勤時間(1-2時間)
□Where:パンパンの満員電車の中
□How:スマホからイヤホンで
□What:人気小説や過去の名作を
□How much:月に2-4冊ほど読み
□Why:ストレスから解放されたい

シチュエーションはケース1と同様ですが、ビジネス書や自己啓発書だけでなく、フィクションを読みたい方もいるはずです。事実、米国オーディオブック売上の7割はフィクションだそうです。

このような方々が、オーディオブックに必要性を感じて購入してくれるか。それが問題です。

単純に紙の書籍や電子書籍の代替で考えても、900億円は難しいと感じます。新たな価値を生み出さないと、厳しい。

オーディオブックは単行本と同価格

オーディオブックは単行本と同価格

オトバンクが運営するオーディオブック配信サービス「FeBe」では、オーディオブックの価格が単行本と同価格です。

毎月定額のプレミアム会員になると少しお得に購入できるのですが、ユーザーとして納得できるか疑問です。

単行本よりKindle版を安く購入した経験があるユーザーからすると、「音のみのダウンロード版であれば、単行本より安くできるはず。」と安易に考えてしまったり、「それなら、チェックやマークができるKindle版の方が良い。」と購入を途中で止めてしまう方もいるでしょう。

これが、単純に紙の書籍や電子書籍の代替で考えた場合に発生する問題の1つです。オーディオブック独自の価値が必要です。

声優・アイドル・女優の応援コンテンツ

声優・アイドル・女優の応援コンテンツ

いっそのこと、ニッチに攻めるのはどうでしょうか?

新人の声優・アイドル・女優には、ほとんど日の目を見ずに消えていく人たちがたくさんいます。本当に、厳しい世界。例えば、このような人たちが、オーディオブックを配信(新人の声優・アイドル・女優が朗読)する仕組みを作っては。

ファンや応援する人がある程度の人数まで到達したら配信決定、もしくは、クラウドファンディングのようにある程度の予約数を獲得できたら配信決定という方式。

これだけでは弱いとすれば、人気の声優・アイドル・女優を定期的に何人かサイトに登場させ、オーディオブックを配信すれば、ターゲットを集客できる可能性は高まるかも。

既に、冒頭でお伝えした「FeBe」でも「kikubon」というサイトでも、声優をフィーチャーした取り組みは行われていますが、もっと突っ込んでも良いと感じます。

リサーチを十分に行っていない現時点で明確な答えは出ませんが、ここで伝えたいことは、「オーディオブックで、どんな顧客価値を創造するのかを突き詰める必要がある。」ということです。

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最後に:心奪われるコンテンツ

新人の声優・アイドル・女優に、著作権が切れた名作の1シーンを朗読してもらう。それを無料配信。

短い時間(1分-3分)で人々の心を動かすコンテンツを配信できたら、音で聴くことの価値を伝えられないでしょうか。

新人を活かして、伝わる言葉を追求するなら、声優に絞った方が良いかも。